皮膚に色素を入れる施術にアートメイクとタトゥー。アートメイクを受けようと考えている人の中には、タトゥーとの違いについて気になっている人もいるのではないでしょうか?なかには、アートメイクの代わりに、眉やアイラインにタトゥーを入れようと考えている人もいるかもしれません。
一見すると同じようにみえる2つの施術ですが、両者にはいくつかの違いがあります。この記事では、アートメイクとタトゥーの共通点や違いについて紹介します。
そもそもタトゥーとは?
タトゥーは、針を刺して皮膚に色素を入れ、肌にデザイン性のある装飾を行う施術のことをいいます。近年、日本でも若者を中心にタトゥーを入れる人が増えています。
話しが少しズレますが、タトゥーと入れ墨の違いについて気になる人もいるでしょう。入れ墨もまたタトゥーと同じように、肌の装飾のために、皮膚に針を刺して色素を入れることをいいます。一般には、タトゥーも入れ墨も肌に色素を入れることには変わりありません。
任侠の世界の人が入れる肌の装飾を入れ墨、一般人が入れるファッション性のある肌の装飾をタトゥーと考える人もいますが、両者では色素の入れ方に違いがあるのが特徴です。
アートメイクもタトゥーも皮膚に色素を入れる点では同じ
さて、本題に戻りアートメイクとタトゥーの違いについて、話しを進めていきましょう。両者の施術には、皮膚に針を刺して色素を入れ込むという共通点があります。一方で、両者のあいだには、以下のようにいくつか違いもあります。
色素を入れる深さが異なる
アートメイクもタトゥーと同じように、皮膚の浅い部分に針を刺して、色素を入れていきます。アートメイクが皮膚の浅い部分に色素を入れるのに対して、タトゥーでは皮膚の深い部分である「真皮」に色素を入れていきます。
これは、両者の目的がはっきり異なるためです。眉毛やアイラインなど顔の一部を描くアートメイクは、自然な風合いを演出することがポイントとなります。一方、タトゥーは入れ墨と同じように、肌の装飾を目的としているため、はっきりとした色合いを出す必要があるからです。
アートメイクは皮膚の浅い部分に色素を入れるため、1回の施術で色が定着することはありません。アートメイクを受けるときは、2~3回の施術を経て、顔になじむ色合いを演出することができます。
持続期間が異なる
両者の施術は一度施術が完了すれば、入浴や洗顔などで簡単に落ちるものではありません。
一方、アートメイクの場合は、年月をかけて施術で入れた色素が少しずつ薄くなっていきます。これは、アートメイクは皮膚の浅い部分に色素を入れているため、肌の新陳代謝とともに、色素が少しずつ排出されていくためです。
個人差もありますが、一般的にアートメイクの持続期間は2~3年が目安になります。一方、タトゥーでは皮膚のもう少し深い部分に色素を入れるため、持続期間は半永久的となります。
年月とともに薄くなっていくアートメイクを維持するには、再施術(リタッチ)が必要になります。リタッチは面倒を考える人もいるかもしれませんが、時代に合わせて流行の顔に調整できるのも魅力といえるでしょう。
肌トラブルのリスクが異なる
これからアートメイクを受けようと考えていた人のなかには、持ちのよいタトゥーでの代用を検討している人もいるかもしれません。確かに。持続期間の長いタトゥーの方が、コストパフォーマンスがよくメリットがあるようにみえます。
しかしながら、皮膚の深い部分に針を刺すということは、それだけ肌トラブルのリスクも高くなることを意味します。
真皮層には肌の弾力を保つコラーゲンが豊富に含まれています。タトゥーの施術により、コラーゲンを傷つけてしまう可能性もあります。また、タトゥーは皮膚に深い部分に針を入れるため、施術時の痛みも強くなります。
そのほかにも、施術者の技術や衛生管理によっては、肌に内出血が起きたり、感染症のリスクが高くなったりすることも覚えておきましょう。
これに対して、アートメイクは表皮の浅い部分に入れるので、その分肌トラブルの可能性も低くなります。もちろんアートメイクによるトラブルがゼロというわけではありませんが、より安心して施術を受けられるはずです。
使用する色素が異なる
タトゥーで使う色素には、鮮やかな色彩を出すために、コバルトや酸化鉄など金属を含んでいるものがあります。金属の含んだ色素を使うデメリットとして挙げられるのが、病院のMRI検査を受けられない可能性があることです。
MRI検査は、大きなドーム状の検査機に入り、身体の内部の状態を画像化する検査です。検査中は強力な磁気が発生するため、体に金属の装飾品はすべて取り外す必要があります。
タトゥーの場合、金属入りの色素を使用しているため、MRI検査を受けられないというケースも増えています。
通常、アートメイクで使う色素は、含まれている金属の量が少なく、MRI検査に影響を及ぼすことはまれです。しかしながら、アートメイクを行っているサロンによっては、安価な金属入りの色素を使用していることもあるので、注意が必要です。
アートメイクを受けるときは、どのような色素を扱っているのか事前に確認することが大切です。
社会的な信頼が異なる
近年になり、若者を中心にファッション目的でタトゥーを入れる人が増えています。厳密に言えば、タトゥーと入れ墨を入れる目的は異なるものですが、公共の場面では同じものとして見なされることがほとんどです。
日本では、タトゥーは暴力団の証でもある入れ墨と同じ扱いを受けるため、プールや温泉などの公共施設の利用を断られることがほとんどです。
施設側もタトゥーと入れ墨の違いは理解していますが、小さなタトゥ―を入れている人の入場を許可すれば、その後収拾がつかなくなる恐れがあるためです。
一方、元の顔ともなじみのよいアートメイクは、公共施設も制限なく利用できます。アートメイクとタトゥーでは、社会的な信用に大きな差があるといえるでしょう。
アートメイクを入れるのならクリニックがおすすめ
眉毛やアイラインなどを整えるには、タトゥーよりもアートメイクが適していきます。アートメイクはサロンを中心に広まりましたが、それに伴い健康被害を訴える人も増えています。
このような背景から、近年ではクリニックなど医療機関でも、アートメイク施術を行うところも増えています。厚生労働省では、アートメイクなど「皮膚に針を刺す行為」は、れっきとした医療行為であると断言しています。
特に、クリニックの場合、MRI検査などで支障のない色素を選んでいることがほとんどです。万が一、施術による肌トラブルが起きた場合も、すぐに対応してもらえるというメリットがあります。
アートメイクを検討しているのでは、安全に施術を受けられるクリニックを選ぶようにしましょう。
まとめ
皮膚に色素を入れるアートメイクとタトゥーですが、両者の間にはいくつかの異なる点があります。眉毛やアイラインなどを整えるのなら、やはりアートメイクが適しているといえるでしょう。
コメント